Kintoneとは何か?
Kintone(キントーン)はサイボウズ社が2011年から開始しているクラウド型のサービスです。業務で使うアプリをプログラミングすることなく誰でも簡単に作れることを謳い、初期費用も0円。また1ユーザー月額780円から(ただし5ユーザーから契約可能)利用可能です。
私は、このKintoneこそ最も中小企業に適したサービスではないかと早くから注目してきました。これまでもコンサルでかかわった中小企業の経営者に幾度となくご提案させていただいてます。しかし中小企業経営者に対し、Kintoneの良さやメリットを一言で言い表すことは大変難しく、”なぜKintoneがいいのか”の説明には毎回苦心してたりします。口頭による説明だと長くなって結局何がいいたいのか伝わらず、かといって短いと「ふ~ん」くらいの感想しかもらえず、やっぱり伝わりません。
口頭だけでは理解してもらいにくいので、Kintoneを中心としたシステム構成図を作成するなど、できるだけ図を見せながら伝えようとはしますが、それでも「Kintoneってすごい!」と短時間でご理解いただける経営者は少ないのも事実です。
世間ではKintoneをひとことで表すときに、「WEBデータベース」「FASTシステム」「クラウド型のACCESS」といった表現がよく聞かれます。しかし、これらはシステムに詳しい者でないとピンとこないと思います。ていうか、システムに詳しい者でも、これだけ聞いて「Kintoneってすごい!」とはならないですね。
ではサービス提供元のサイボウズ社はどのように説明しているか。Kintoneのヘルプを見に行くと、以下の記述があります。
kintone(キントーン)は、開発の知識がなくても自社の業務に合わせたシステムをかんたんに作成できる、サイボウズのクラウドサービスです。業務アプリを直感的に作成でき、チーム内で共有して使えます。社員間のつながりを活性化する社内SNSとしての機能も備えているため、スピーディーに情報共有ができます。
なんというか、この説明では「はあ、そうですか」くらいの感想しか出ません。「3分でわかるKintone」という動画も用意されていますが、この動画をみてもやっぱり「Kintoneってすごい!」とはなりにくいと思われます。そもそも経営者は忙しいので、そんな方々に良さを伝えるのに3分もかかっていては、
と言われてしまいます。しかも、この3分動画ではKintoneの特徴を「データ共有」「プロセス管理」「コミュニケーション機能」と3つ挙げていますが、それらがビジネスにどんなメリットをもたらすのか、この動画を見ただけでイメージが湧く人は少ないと思います。
ようは、いろいろできてしまうゆえにセールスポイントが定まっていないこと。皮肉なことにそれがKintoneの欠点であり、ひとことで良さを伝えることができないサービスなのです。
ですが、言い換えれば「セールスポイントが定められないほど、様々なことができる」ことでもありますから、Kintoneを導入することで社内の様々な課題が解決できたり、利用中の複数ある他社サービスを1つに統合できたりと、経営体力の乏しい中小企業にとってこれほど可能性のあるサービスはないともいえます。なにしろ初期費用は無料、最小構成で月額4,000円程度から利用可能であり、契約も一か月単位で可能ですので「やっぱ合わねぇ」となってもリスクはほぼナシです。
そこで求められるのが、使い始めるまでの導入支援です。いきなり「はい、コレ使ってね」といってもダメで、凧あげのように、空高く上がるまで伴走してあげる必要があります。伴走型の支援は我々中小企業診断士の得意とするところでありますから、中小企業診断士とKintoneはとても相性がいいと考えています。
長くなりましたが、これが私がKintoneを習得しようと思いいたった背景です。Kintoneの魅力をうまく伝え、多くの中小企業に対して導入を支援してきたいものです。
また、神職者でもある私としては当然ながら中小企業だけでなく神社運営にも便利に使えるのではないかと、神社に対しても提案していこう思っています。Kintoneは汎用性が高いので、業種を問わないサービスなのです。
そこで、より深くKintoneを理解するための効率的な方法を探っていたところ、出会ったのが「kintone認定 アソシエイト」資格です。
アソシエイト認定試験制度
そんな可能性に満ちたKintoneですが、まだまだ市場に浸透しているとはいえず、スキルを持った人材はそう多くはいない状況です。そこでサイボウズ社は「kintone認定 アソシエイト」なる資格を2018年1月からスタートさせます。サイボウズ社のサイトでは次のように説明しています。
kintone認定 アソシエイトは、kintoneの機能および設定方法に関する体系的な知識を持ち、kintoneを活用した業務改善スキルがあることを証明します。
この認定資格の受験対象者は
- kintoneでアプリを作成したことがある方
- kintoneのアプリ設定やシステム管理に携わる方
- kintoneの基礎知識について体系的に学びたい学生・社会人の方
といった人々を対象としているようです。
認定資格の試験に関する詳細は次のとおりです。(2018年9月時点)
出題数 50問
試験時間 60分
合格基準 非公表
出題形式 択一、または複数選択
受験料 15,000円
なんと、合格基準が「非公表」ということで難易度がさっぱりわかりません。しかもまだ始まったばかりの資格なので、ググっても情報がほとんど出てこない有様です。なので、(受験料が高いですが)まずは受けてみようと思いました。Kintone試験対策テキストはこの時点ではまだ発売していなかった(2018年6月発売)ため、学習方法はヘルプをひたすら読んでいくという方法でした。
結果は次の通りでした。
受験【1回目】
受験日:2018年4月
結果:不合格
スコア:60%
アプリ:60%
スペース:20%
管理者設定:60%
その他:70%
応用:80%
はい。落ちました。
ヘルプの量が膨大で読むのがつらかったです。当然ながら、お客様にKintoneを提案するためにテスト環境を用意し、けっこう触っていました。なのでそれなりに自信はありましたが、まだまだ理解が甘かったようです。ていうか、意外と難しいというのが正直な感想でした。
特にやっかいなのは複数選択の問題です。この試験の問題はすべて4つの選択肢がある形式で出題されますが、正解が1つとは限らないものがあるのです。たとえば、次のようなタイプの問題です。
「A社はKintoneの導入を検討している。Kintoneのアプリで管理可能なデータとして適切なものをすべて選びなさい」
A)ファイル管理
B)社員名簿
C)人事評価
D)タイムカード
「すべて選びなさい」という問われ方で、このような問題が結構出題されます。こう問われると4つの選択肢のうち選ぶべきものが1つとは限らず、2つかもしれないし、3つかもしれないのです。ちなみに上記の例題は「A~Dすべて適切」が正解です。つまり確実に正解するには、4つある選択肢のすべてを理解していなければなりません。もし正解が1つだけの4択問題でしたら、えんぴつ転がして正解する確率は4分の1ですが、このタイプの問題は16分の1にまで落ちるということです。
しかしこれ以上理解を深めるのにヘルプではつらいので、2018年6月に発売する試験対策テキストを待つことにしました。テキストは練習問題が豊富に掲載されていたので、ヘルプよりははるかに効率的な学習ができました。
受験【2回目】
受験日:2018年9月
結果:合格
スコア:72%
アプリ:80%
スペース:60%
管理者設定:80%
その他:50%
応用:80%
2回目にして合格。合格基準は非公表ですが、おそらく全体のスコアが70%以上であれば合格ということかもしれないです。
ネットで検索すると他の方の受験記もいくつか出てきますが、試験の学習方法に「Kintoneヘルプを見るだけで充分や」とおっしゃる猛者がおりました。個人的には、1回目の試験はこの方法で落ちたこともあり、得策とは思いません。ヘルプは量が膨大につき全部目を通すのは時間の無駄です。「不明なことがあったら調べる」くらいの辞書代わりに使うだけにしましょう。
お勧めは公式の試験対策テキストです。この本を読みつつ、実際にKintoneを触りながら学習するスタイルが最も早道だと思います。想定される学習時間の合計は30~50時間くらいでしょうか。
最後に:
Kintoneは簡単にアプリを導入できるサービスですが、提案する立場としてはすべての機能を把握している必要があります。したがってそれなりの学習時間が必要となります。学習は本やヘルプを読むだけでなく、実際に触ってみることが重要です。
実際に触る環境ですが、Kintoneは一か月なら無料で使えます。しかし開発者ライセンスを取得すれば1年間使用可能ということですので、ご興味のある方は以下よりアカウントを取得してみたらいいかもしれません。