雑記

インド版「寅さん」を作ったら流行るかもしれない理由

最近知ったのですが、スリランカで『男はつらいよ』(通称:寅さん)シリーズが放送され、同国でブームになっているそうです。

ソースは以下をご覧下さい。
https://news.yahoo.co.jp/feature/917

スリランカはもともと親日国ということもあり、

「日本もスリランカも仏教の島国」
「寅さんはお坊さんのよう。欲望がない」

といった理由から、寅さんの生き方がスリランカ人の共感を得ているようです。
見返りを要求することなく、人々(特にマドンナと呼ばれる美女たち)のために親身に接し、相手の幸せを一番に考えて行動する。
そんな寅さんに、マドンナたちは次第に心惹かれていきます。

男はつらいよシリーズは48作品ありますが、多くの作品において寅さんは
”あと一歩、押せばイケそう”
なところまでマドンナの心をつかみます。
しかし相手の幸せを第一に考える寅さんは、マドンナに好かれていると知りつつも、自分では釣り合わぬと考え始め、最終的には自ら去るというプレイに出ることもしばしば。

こうやって文字に表すと大変自分勝手な人物な気もしてきますが、映像だと「それも寅さんの優しさゆえに」といった雰囲気が伝わってきます。そう感じさせるところに渥美清という役者の偉大さが秘められているのかもしれません。

しかしこの寅さん式 ”去り際の美学”。
武士道のような、日本人(それもごく一部の)にしか到底理解しえない感覚ではないか・・・? 外国人に理解できるのか?
と思いきや、遠く離れた島国で共感を得ていたということに驚きを隠せません。

実は私、去年通っていたビジネススクールで、アジアで成功するビジネスを考えるという課題があったのですが、インド人向けに寅さんをリメイクした映画を売り込んだらどうか、という企画を考案しました。

しかし、気合を入れて二日酔いで臨んだそのプレゼンは、盛大にスベりました笑
教授はじめ30名余の学生のほとんどが、どうも寅さんをまともに見たことが無いらしく、まったく響いておりませんでしたw
(今ならNetflixやHuluで全作みれます!)

しかしインドのお隣、スリランカでこれだけ寅さんがウケていると聞き、着眼点としてはなかなか良かったのではないかと、今になって自負している次第です。

そこで、プレゼンに使ったスライドの公開に踏み切った次第です。

出オチとして、当時流行っていたピコ太郎を使用。
インドと”何か”を組み合わせると~?
という入り方です。
この時点ですでに失笑を買っていたかもしれません。
二日酔い状態で臨んだプレゼンなので、こちらも強気です。

ビジネススクールの課題なので、データを使ってニーズがあるのかどうかを示すところは一応ちゃんとやります。インド映画業界が、いかに未来が明るいかというデータですね。

ご存知の通り、インドは人口がハンパないです。2030年には世界一の人口になり、やはりインドは未来が明るいというデータです。知らんけど。

日本でもインド映画は定期的にブームが訪れています。

『ムトゥ 踊るマハラジャ』1998年日本公開
『きっとうまくいく』2013年日本公開

これらはさすがにご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここから、インド人と日本人はどこか共通した感性を持っているのではないか、日本の映画もインド人にウケるのではないかという主張を繰り広げます。

中国ですが、「家族はつらいよ」が公開されることになったという記事を紹介しました。あまりにタイムリーな話題だったので、いかにインド版寅さんの実現性が高いものであるかを熱弁ふるいましたが、やはり、あんまり寅さん知らない人たちにはまったく響かない。教授もきょとんとしていました。

誰一人共感者がいないまま、ここからさらに具体的な話題を展開していきます。
2016年、そこそこヒットしていた『バルフィ ~人生に唄えば』というインド映画を紹介し、寅さんとの共通点を示しました。

誰一人共感者がいないまま、配役も私のほうで決めてしまいました。
バルフィに出演していた主人公を寅さん役、そのヒロインはさくら役。
悪くない。
バルフィをまだご覧になっていない方は、ぜひ見てください。たいへん素晴らしい映画です。

そういや昔、CMでリチャード・ギアが寅さんのかっこで出てましたよね?だから寅さんスタイルをそのままインドでも受け継いでも違和感ないでしょ、という話です。

さらに、寅さんファッションがいかにグローバルに通用するかを熱弁します。
ここはそこそこウケてたように思います。知らんけど。

結論は、

インド版 寅さんは通用する!

です。
長々と申し訳ございません。

余談ですが、個人的に寅さんシリーズの大きな功績は、日本各地をロケ地に使うことで何気に地方にスポットライトをあてているところだと思っています。

寅さんのロケ地は全国にあります。
試しに「寅さん ロケ地」でググってみたら、やはり出てきましたw
以下は松竹の制作なので間違いないです。

https://www.tora-san.jp/location/

どうですか、この数。
ウィーンやアリゾナまで出張されているではありませんか。

映画という作品を通じて、地方都市にスポットライトをあてる手法は、これからの地方創生において大きなヒントになりそうです。
魅力はあっても、その魅力を知る機会がなくては地方は衰退していくしかありません。

『男はつらいよ』では、寅さんが直接地方の魅力を語っているわけではありません。ただそこにいるだけです。
しかし、そこにいることで、その場所に魅力があれば、それは見ている人が勝手に気づきます。むしろ、こちらから「ほら、この土地いいでしょう~?」というのではなく、その人が”自分の気づきによって魅力を感じてもらう”ことが重要なのです。

それには、映画という媒体に寅さんのキャラクターが見事にフィットしたのではないかと思うのです。

以上、長々と失礼しました。