補助金とは、返済義務のないお金のことで、つまり「もらえるお金」です。「助成金」もほぼ同様の意味です。
これは申請すれば誰でももらえるわけではありません。様々な要件を満たしたうえで、審査に通る必要があります。審査では、申請書類の不備がないか、補助金の使い道が妥当であるか等が確認されます。これらをパスしてはじめて「採択」となります。
世の中にはたくさんの補助金がありますが、管轄する主体は大きく分けると次の5パターンに分類されます。
1.国(各省庁)
2.都道府県
3.市区町村
4.独立行政法人
5.民間団体(協会や財団など)
会社や個人事業などの事業者であれば、上記いずれのパターンにおいても利用可能な補助金はたくさんあります。たとえば国の補助金であれば、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金などがよく利用されています。これら補助金の管轄は経済産業省ですが、他にも厚生労働省や農林水産省などもそれぞれ事業者を補助するための補助金を持っています。
国の補助金はもらえる金額も大きく、採択されれば事業者にとって大きな助力となり、ありがたいものといえるでしょう。
では、宗教法人が使える補助金はあるのでしょうか?
神社やお寺だって、存続のためにはお金は必要です。神社であれば神職の人件費、授与品等の仕入れ、建物の維持管理費など、一般事業者と同様にたくさんの経費が必要となります。
にもかかわらず、残念ながら「宗教法人が使える補助金はほとんどない」というのが実情です。理由は、いわゆる「政教分離の原則」という憲法の存在です。そのため、国が直接的に宗教法人を支援することは難しいのです。
とはいえ、全く使えるものがないというわけではありません。たとえば国の補助金では、文化庁が管轄する補助金・助成金の一部が使える可能性があります。
【各種助成金・支援制度一覧:文化庁】
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/joseishien/
しかし文化庁が管轄する補助金制度の特徴は、「文化財や伝統文化の保存」という観点での補助となります。つまり宗教法人の支援を目的としてはいませんので、なかなか申請要件にはまらず、非常に使いにくいというのが正直な感想です。
まとめると、5パターンのうち公的な機関としての性質が色濃い以下の主体においては、使える補助金はほとんど期待できません。
1.国(各省庁)
2.都道府県
4.独立行政法人
のぞみがあるとしたら、次の2つです。
3.市区町村
5.民間団体(協会や財団など)
民間団体(協会や財団など)に関しては、これは所属している団体によりますので、ここでは詳細は割愛します。
3の市区町村も公的な機関ではあるのですが、その存在意義は「地域住民の生活向上や地域文化の振興」ですので、宗教法人でも申請できる補助金が用意されている可能性があります。
では宗教法人が使える市区町村の補助金は、どのように探したらよいのでしょうか?
もっともよい方法は、「所属する自治体のウェブサイトをチェックする」です。一例として、神奈川県平塚市の補助金を紹介します。
【中小企業等デジタル化支援補助金:神奈川県平塚市】
https://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/sangyo/page33_00096.html
「中小企業」とあるので、一瞬、宗教法人は無関係か・・・と思っていしまいますが、「中小企業等」とあります。「等」という文字が付くと「それだけではありませんよ」という意味が付与されるので、公的な機関が好んで使う便利な表現ですね。笑
この補助金の申請にはいくつか要件があるものの、基本的に「市内に事業所がある中小事業者」であればほとんどが当てはまるはずです。宗教法人、NPO、医療法人など、様々な団体が申請可能です。
これが自治体の補助金の懐の深さです。
皆さんの地域の自治体のウェブサイトをぜひ、チェックしてみてくださいね。
ちなみにこの平塚市のデジタル化支援補助金は、ソフトウェア等の導入費用が補助され、最大で100万円ももらえます。神社といえど顧客管理、会計、給与計算など必要なソフトウェアはたくさんあるはずです。
平塚市の神社、お寺さんは使い道を検討してみてくださいね!
なお、補助金や助成金は返済義務のない、もらえるお金ではありますが、以下の点は共通していることが多いので、くれぐれもご注意願います。
・交付決定日(補助金の交付が決定した日)以降に使ったお金が補助対象となる
・原則、後払いである
ただ、例外もあるので詳細は各補助金・助成金の募集要項をよく確認してください。
それでは。